伊賀泰代『生産性』

 

生産性

生産性

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 著者の伊賀泰代氏は、『最速のリーダー 最小の時間で最大の成果を上げる』の赤羽雄二氏と同じマッキンゼーつながり。

 生産性を向上させるとなったとき、付加価値の低い業務を非正規社員に任せるという対策になりがちだが、これでは生産性の低い仕事がいつまでも社内に温存されてしまう。これぞ、まさにいまの職場。

 『最速のリーダー』においては残業ゼロそのものが目的化されていたのに対し、『生産性』ではアフター残業ゼロに焦点があてられている。もちろん、『最速のリーダー』においても、残業をゼロにする目的や意義を十分説明しているものの、『生産性』ではより鮮明に描かれている。あくまでも相対的なものである。

 生産性を上げる方法として、改善により投入資源を小さくする、イノベーションにより投入資源を小さくする、改善により成果を大きくする、イノベーションにより成果を大きくするという4つの類型を提示している。
 『最速のリーダー』では、主に改善によるコストの低減を提示していた。一方、『生産性』は、残業ゼロの結果としてのイノベーションのための時間的な余裕を第一に挙げている。
 これは、普段残業ほぼゼロを実践しながらも、ルーチンの業務をいかに効率的にこなし、定時内で仕事を済ませるか、さらには有給休暇をどれだけ消化できるかに追われるだけのぼくが痛感する違いである。生産性と残業ゼロは必ずしも一致しない。残業ゼロを錦の御旗にしてしまうと、残業ゼロを実現した時点で成長は止まるリスクがある。残業ゼロからの生産性向上という次のステップに進んでいかなければならない。

 本書では、トップパフォーマーと呼ばれる上位数パーセントレベルの人材と、組織の大半を占めるアベレージパフォーマー、そして、いわゆる「社内選抜に漏れた中高年社員グループ」の生産性を上げるための心がまえを説いている。
 一応は課長試験に合格している身ながら、決して出世コースに乗っているわけではない、典型的なアベレージパフォーマーのぼくにとっては、第5章と第6章の内容が興味深い。年上ばかりのスタッフに向けて、ストップウォッチで日常業務の計測をしてもらったり、業務の棚卸をしてもらったりお願いするのは敷居が高いが、そこを克服してこそのマネジメントであり、リーダーシップ。
 いずれ、中国では一般的であったチームビルディング研修などもやってみたいものの、はてさて、どうなるやら。