ケン・ブランチャードほか『1分間モチベーション』

 『1分間マネジャーの時間管理』で優先順位とは何たるかを学び、『0秒リーダーシップ』で即座にリーダーシップを発揮する必要性を学んだ。

 お次は、0秒からはずいぶんと遅くなるものの、再び"One Minute Manager"シリーズでおなじみのケン・ブランチャード氏による『1分間モチベーション』でモチベーションを高めるノウハウを学ぶ。

1分間モチベーション

1分間モチベーション

  • パンローリング株式会社
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 『1分間モチベーション』はあくまでも邦題で、原題は"Gung Ho! How To Motivate People in Any Organization"らしい。でも、エッセンスを1分間でふりかえられるあたりは「1分間シリーズ」そのものだ。

 本書が提示するのは、リスの精神、ビーバーの行動、そして、ガンの贈りもの。この3つ。これらのキーワードだけで1冊をふりかえられるから、「1分間シリーズ」も名前負けしていない。

 リスの精神とは、自分たちが社会にとって重要な仕事をしているという実感、それだけの価値がある共通の目標、それらの道しるべとなるしっかりした価値観、それらに基づいて計画し、決定し、行動した結果として得られるやりがい。
 「なぜここで仕事をしているのか」「私たちの目標は何なのか」「私たちはどのような価値を求めているのか」といった質問に全員が答えられるような組織。ああしてほしい、こうしてほしい、と会社に望むだけではなく、何をどうしたい、がはっきりしている組織。想像しただけで楽しくなる。

 ビーバーの行動は、それぞれが自己管理をしながら目標を達成しなければならないという意味である。自らが自身のリーダーとなり、ビーバーのように忙しく("as  busy as a beaver")働く。前提となるのが、お互いに尊重しあう組織だ。そうであってはじめて、各自が本来やるべき仕事に集中できる。

 最後のガンの贈りものは、仲間への惜しみない声援と祝福。

 これらが全部そろえば、「仕事に行きたくなる職場」を実現できる。
 もちろん、これらは1分間で完結しない。本書の作中でさえ、数ヶ月では全然足りていない。でも、「ガンホー」に向かう過程でだけも大きな進歩だ。

 ベーコンエッグにおける豚レベルのコミットメントは難しいかもしれないが、まずはリスの精神から。

ピョートル・フェリークス・グジバチ『0秒リーダーシップ』

 課長昇進を目指すにあたり、リーダーシップやマネジメントを学びたい。その一心ではじめた集中的な読書だが、投資の方向に寄り道してしまった。
 別にビジネス書ばかりを読んできたわけではないので、いずれは幅広くアウトプットしていきたいが、しばらくは本筋に戻りたい。

 そこで、タイトルが実に刺激的なピョートル・フェリークス・グジバチ氏の『0秒リーダーシップ』を読んだ。モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事してきた、いわゆるリーダーシップの専門家である。

 まずは、タイトルの「0秒リーダーシップ」について。肩書や仕事を問わず、誰もがリーダーシップを求められる時代だから、いますぐ、つまりは「0秒」で個人がリーダーシップを発揮すべきだ、という意味である。赤羽雄二氏の「ゼロ秒思考」における最速というニュアンスとは異なる。

 現状にプラスアルファの変化をもたらすのがリーダーシップの基本であり、その定義からすると、誰でもリーダーシップを発揮できる。指示するだけがリーダーシップではなく、自らが行動によってロールモデルをつくり、フォロワーを生んでいく。これもれっきとしたリーダーシップだ。
 逆に、過度の失敗への恐れ、肩書がないゆえの遠慮、黙って従っておけばいいという無責任な態度、そして、現状維持志向。これらはすべて、リーダーシップの大敵である。

 特に問題となるのが、現状維持志向。イノベーティブシンキング、プロトタイプシンキング、ラーニングアジリティなどで打破していく。

 エモーショナルインテリジェンスやマインドフルネスを強調するあたりはGoogleらしい。

 保守的な日本の会社で、初級管理職たる課長を目指すぼくにとって、本書で掲げられているリーダー像はあまりにもまぶしいが、ギャップが大きい分、それだけやりがいがある。

本多静六『私の財産告白』

 NISAの口座を開設したのをきっかけに、にわかに投資熱が高まってきた。

 

 これまで読んだ本のうち、投資というテーマで印象的だったのは、本多静六氏の『私の財産告白』だ。東京大学農学部の前身にあたる東京農林学校出身の林学者でありながら、投資で巨万の富を築いた投資家でもある。

私の財産告白

私の財産告白

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 財産を築くとなるとまず目を向けがちなのは投資だが、氏が提唱するのは「本多式四分の一天引き貯金法」である。要は、給料の4分の1を強制的に貯金し、残ったお金でとことん質素倹約に努めるというものだ。シンプル。あまりにシンプル。
 その貯めた4分の1を銀行に預けていれば相応の利子が生まれるという当時の時代背景もある。また、本多氏は専門の林業に関連して森林の開発で大儲けしたという事情もあり、平均的なサラリーマンが4分の1貯金を実践してもどれだけ効果があるのかはわからない。
 「本多式四分の一天引き貯金法」という具体的な手法より着目すべきは、氏の潔癖ぶり、清貧ぶり、浄財への執念だろう。初版から70年が経ったいまでも学べるところは多い。

 また、「私の財産告白」というタイトルながら、後半は平々凡々たるサラリーマンに向けた人生訓となっている。特に刺さるのが、「職業の道楽化」というキーワード。

 人生の後半戦の大半を仕事が占める。それをいかに楽しむか。いまの仕事の収入をいきなり倍にするのは難しいかもしれないが、いまの仕事を楽しむのはそこまで難しくないはずだ。まずは、月曜日を楽しみにするためのしかけづくりから。

小栗勇人『経理の力で会社の課題がわかる本』

 社会人として働きはじめてから、ずっと経理の仕事に携わっている。つまりはほかの職種をまったく知らないわけだが、なんとなくのイメージで、Excelとの縁が比較的深い職種ではないだろうかと想像している。

 Excelは得意分野で、かつては「Excel王子」と呼ばれし時代もあったぐらいだ。でも、Excelを特に集中的に学んではおらず、自信もない。そこで、経理とExcelというピンポイントなテーマを扱った本書を手にとった。

 この本を最初に読んだのは、出版されてまもない2017年。まだ中国で働いていたころだ。初見では刺さるところがそれなりにあったように記憶しているのだが、いま読んでもしっくりこなかった。当時と環境がそれほど変わっているわけではなく、最後までそのしっくりこない理由はわからずじまいだった。序盤で触れられている、予算がなぜ必要かという説明に全然腹落ちしなかったからだろうか。

 一方、ピボットテーブルに紙幅を割いているところは実用的だ。
 ピボットテーブルを普段から使っている人にとっては当然の機能かもしれないが、その存在を知らない、もしくは使いたがらない人は、実は少なくない。ピボットテーブルをほんのちょっとささっと操作しただけで「スゴい」となる場面もしばしばである。

 そのような、案外差別化につながるピボットテーブル。いまも活用できていないテクニックもあったから、羅列しながらメモしておく。
 集計行の集計名をマウスで選択すると、すべての集計行を一括で編集できる。
 「レイアウトと印刷」のタブにある「アイテムのラベルの後ろに空行を入れる」にチェックを入れると、集計行ごとに空行を挿入できる。
 GETPIVOTDATA関数の活用の余地は大きい。
 ピボットグラフで「計算の種類」を「累積」にし、「基準フィールド」から「期間」を選択すると、ピボットグラフを累積のグラフに変更できる。

 得られるものがあれば、それでよしとしよう。

竹川美奈子『はじめての「投資信託」入門』

 NISAの口座を開設し、村上世彰氏の『村上世彰、高校生に投資を教える。』で株式投資の基礎の基礎をインプットした。

 そこで感じたのが、国内にせよ海外にせよ、株式の投資のためにアクティブに動きまわるエネルギーがないという事実。まずは、投資信託で手軽に投資をはじめ、関心が大きくなってきたら、次に株式に進めばいい。

 だから、竹川美奈子氏の『はじめての「投資信託」入門』で投資信託の基礎を早速学んでみる。

 投資先を特定して投資できる株式に比べて、投資信託はどことなくとっつきにくいイメージだった。保有するかぎり継続して発生する手数料の存在も、正直、証券会社に食いものにされている感があった。
 あと、事前にあったわずかながらの知識としては、購入するときに手数料がかからない「ノーロード」の商品があったり、各種のインデックスと連動するインデックスファンドがあったり、ぐらいにとどまる。

 本書を読んで、まず新鮮だったのは、手数料には購入時手数料、運用管理費用のほかにも信託財産留保額などがあり、それらは商品によって大きく異なるというところ。購入時手数料がかからないノーロード、かつ、信託財産留保額もゼロの商品からはじめたい。

 インデックスファンドを選ぶ目安としては、手数料が安いか、長期的な運用を期待できるか、目標とする指数と乖離していないか、がある。

 一晩考えた結果、国内、米国、グローバルの3種類のインデックスファンドと、中国株のアクティブファンドを購入した。
 全部が株式であり、リスクをきちんと分散できていないかもしれないが、今回の120万円はあくまでも勉強用、生活に影響しないお小遣い的な資金だから、気にしない。

 さて、運用の成果はどうなるか。まずは1ヶ月後ぐらいに見てみよう。

村上世彰『村上世彰、高校生に投資を教える。』

 いまさらながら、NISAをはじめた。
 とりあえずは口座を開設し、年間の限度額である120万円を入金してみたのだが、そこでフリーズ。投資のやりかたがまったくわからないのだ。

 これまで、投資らしい投資をしてこなかった。
 中国にいたころ、理財商品なるものの金利は4%台だった。定期預金の金利でさえ2%を超えていた。でも、中国がいつ破綻するかわからないから、お金は常に普通預金。結果として中国は破綻していないので、少なくない機会損失だったわけだ。

 調べていくと、どうやら投資信託、それも手数料が低いインデックス投資がいいらしい。頭のなかではインデックス投資一択ながら、ほかの選択肢も見てみたい。そこで、たまたまセール中だった村上世彰氏の『村上世彰、高校生に投資を教える。』を読んだ。

 もはや高校生たちの年齢の倍以上のいま、果たして得られるものはあるのだろうか。

 「N高」投資部の特別顧問として、高校生の部員ひとりひとりに20万円を提供し、その資金枠で投資を実践してもらうという試みだ。もし利益が出たら、それは各人にプレゼント。損失が出ても、それは村上財団が負担する。

 「怖さ」を忘れてはいけないというメッセージが印象的だった。お金を失う怖さだけでなく、挑戦するときの怖さ。何事も、経験を重ねて慣れていくと、初心を忘れ、怖さを忘れる。怖さを忘れると、物事に真摯に向きあえなくなるのだ。

 また、投資に失敗の経験はつきものである。だから、投資はしない 。そんな過去のぼくの思考はあまりにも短絡的だ。
 ひとつひとつの投資の理由を明確にし、たとえ失敗をしても、その失敗の理由とそこからの改善点を見出せば、総合的にはプラスになる。大事なのは、シナリオづくりと、その分析。損切りも機械的にではなく、事前のシナリオからの乖離の有無で判断する。
そう考えると、積極的に失敗してもいい。

 ちなみに、村上氏の主な投資先は、財務体質が良好な一方、株価が低迷している会社。そこが保有する豊富な資金の有効活用を株主として対話し、あるいは促し、その結果、株価をあげるという好循環を目論んでいる。あくまでも中長期的な投資がメインで、ゼロサムゲームであるFXやデイトレードには否定的だ。

 本書で試みられた投資の実践は、結果として、日経平均の動きを大幅に下回った。図らずも、投資の怖さをリアルに伝えてくれると同時に、インデックス投資への関心がより強まった。でも、インデックス投資には、考えるという大事なプロセスが大幅に薄まってしまうという点もある。

 NISAの口座に置かれた120万円はもうしばらくこのままにしておこう。どうせ投資するなら、もっと楽しまなければ。

釘山健一『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本』

 いまの会議とぼく自身のファシリテーションのスキルを大いに問題視し、まず頼ったのが、堀公俊氏の『今すぐできる!ファシリテーション』だった。

 しかし、依然、いまの会議とぼく自身のファシリテーションのスキルには依然として大きなギャップがある。そこで、次に参考にするべく読んだのが、会議のファシリテーションのプロフェッショナル、釘山健一氏の『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本』だ。

 『今すぐできる!ファシリテーション』が汎用的に使えるのに対し、本書は2時間ほどをたっぷり使った「合意形成型会議」を中心としている。

 合意形成型会議は、会議の目的を「決める」から「参加者が納得する」に変えた会議を指す。結論ありきではなく、参加者の合意や納得がゴールとなると、途端、まったく異なる会議のありかた、やりかたが見えてくる。

 ファシリテーターがまずやるべきなのは、雰囲気づくりである。参加者が活発に発言するための楽しく自由な雰囲気さえつくれば、そこから好循環がまわっていく。

 本書が想定しているのは、数人で一組の小集団が数組できるような、そして、会議も2時間以上となるような大きなワークショップ的なものだ。A3の模造紙であったり、5分から10分のワークの時間であったり、1時間程度の会議が主流の環境だとイメージをしづらい点が多々ある。
 もっと小規模、もっと身近な会議のファシリテーションとはやや外れるあたり、先日の堀公俊氏の『今すぐできる!ファシリテーション』はより汎用的で使いやすい。

 理想の会議本に出会うまで、もうちょっとの模索が必要なのかもしれない。